中学生は他人からの評価を気にしますし、自分と他人を比べて自己評価もします。
成績のよくないお子さんは、この自己評価がおそろしいほど低いです。
他人からの評価が「まあまあ」でも、自己評価は「全然ダメ」。
とにかく自信がなく、表面には出なくても「自分はだめな人間だ」と思っています。
自分は素晴らしい、できると考えることを「自己肯定感」と言いますが、 自己を肯定している子はとても少ないです。
知らずしらずの間に、自分という人間を「ダメ人間」だと固定しています。
その心の中が、成績に対する考え方に深く影響し、点数に現れてきます。
テストの目標点が五科目350点(500点満点)だったとしましょう。
現状は280点。 テストに向けて努力はするのだけど、どうしても310点で止まってしまいます。
なぜでしょう。
もっと時間を延ばせばよかった? たくさん練習すればよかった? 授業をちゃんと聞けばよかった?
実は努力以前の問題として、心の中に問題があります。
300点で止まっているお子さんは、心の中で300点の壁を作っています。
実はテストを受ける前から「僕は300点の人間だ」と決めつけています。
350点を目指すと口で言いながら、心の奥底で「たぶん無理だ」と思っています。
信じられないかもしれませんが、本当のことです。
証拠は、テスト結果が出たときのお子さんの様子を見ればわかります。
350点であれば平均70点です。 数学が68点だったとしましょう。
お子さんの様子をご覧になってください。
ほっとしていますか? 悔しがっていますか?
> あ~、なんとか68点とれた。
> くっそ~、70点に届かなかった、ちくしょ~!
どちらでしょう。 68点で、まぁ満足なら、「見えない心の壁」があるのです。
自分の満足いく点数が68点だったわけです。
だから絶対にそれ以上にはならないわけです。
一方、80点を取っても「あ~、90点以上取りたかったのに!」と悔しがっている子。
まだ伸びます。自分は90点取れると信じているからです。
自分のレベルはこんなもんじゃない、もっと取れると信じているのです。
心に描いた理想の自分になるために、生徒は努力します。
理想の自分が68点である子は、68点でストップ。
それ以上にはならないのです。
私も思い当たることがあります。 新しい季節を迎えると、何か新しいことにチャレンジしてみようと思います。
いくつかのことを頭に思い浮かべます。 こうなれば嬉しい・・・・・もっとこうしたい・・・・・願望は尽きません。 しかし、いくつかの願望について、心の中で「これはちょっと難しいな」と思ってしまうの です。
無意識に、出来ないだろう感じているのです。
すると、本当にできない。
自分で心の壁を作っているからです。
お子さんは常に心の中で「合格したいけど、ダメかもしれない」と思っています。
「だめだったら、どうしよう」 「落ちたら、恥ずかしいな」と思っています。
口には出しませんが、不安の中にいます。
そんな時こそ、お父さんやお母さんが勇気をあげてください。
「大丈夫だ、合格できるよ」と言ってあげてください。 どうぞ、お子さんの自己評価を高めてあげてください。